岩波講座 教育の方法1「学ぶことと教えること」
永野 重史
岩波書店

学ぶことと評価

東洋氏の「教育評価とは、教育活動にかかわる意志決定の資料として、教育活動に参与する諸部分の状態、機能、所産などに関する情報を収集し、整理し提供する過程である」(「子どもの能力と評価」東大出版)というような新しい教育評価観が十分に普及しているとは言えない。
PP.166

最近、心理学者の間に、この時期の「教育」には子どもの学習にとってなかなかよいものがあるから学校教育もそこから多くのことを学んだほうがよいのではないか、という意見が出始めている。
(幼児期の学習について)
PP.168

幼児の学習の様相
1、親は子どものことをよく知っている。子どもがどういうことに興味を示すか、どういうことはできて どういうことはできないか、説明してもわからない時にどのように言い換えてやればのみこめるか、などのこと  について親は非常に詳しい知識を持っている。

2、成功したかどうかの規準が柔軟にかわる。幼い子どもに積木で家を作らせようと親が考えた時子どもが家を作ろうとせず、積木を高く積みはじめたら、親は「家を作ることになっていたわね」と言って叱るだろ  うか。恐らく「まあ、ずいぶん高く積んだわね」といって子どもの意図した活動の目標に沿って評価するだろう。

3、子どもが以前よりも成長したことを喜び、他人よりすぐれていないからといって批難しない。おにごっこでもなぞなぞでもいい。親は子どもが自分達の文化に参加し社会化することを喜ぶ。
PP.170